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インターネットと法律いろは[第3回]
インターネット上の掲示板サイトへの対応

インターネット上の掲示板サイトで、自社を誹謗中傷する書き込みを匿名でされる場合があります。このような行為は名誉毀損等が成立すれば違法行為となりますが、会社としては具体的にどのように対応したら良いのでしょうか。
 先ず、掲示板サイトの管理者に対し、直ちに削除請求をしましょう。この場合、証拠を残すために、必ず内容証明郵便で請求しましょう。また、サイト全体の削除等は認められませんので、削除要求は可能な限り削除する場所を特定して行ってください。

 私もお客様から依頼を受けてこのような削除要求をすることがときどきありますが、最近では、明らかな権利侵害があると認められる場合は管理者側で速やかに任意の削除に応じる場合が多いです。

 次に、掲示板サイトの管理者が削除請求に応じない場合、裁判所に対し送信差止請求訴訟を提起することが考えられます。実際の加害者は匿名であり特定できないのが通常ですので、管理者を相手方として適切な対応を求めることには実益があります。しかし、実際に裁判をするのは大きな負担ですし、会社にとっては不愉快な書き込みであっても、法律上は必ずしも違法とはならない場合も多くあるのでご注意ください。

 最後に、実際に書き込みをした加害者を相手にしたい場合は、その者を特定する必要があります。この場合、掲示板の管理者は書き込みをした者の氏名・住所等を知っていることはまずありません。そこで、プロバイダ責任制限法第4条に基づき、最初に掲示板サイトの管理人に対し当該書き込みをした際のIPアドレス及びタイムスタンプを開示させ、次に、その開示された情報をもとにインターネットサービスプロバイダー(ISP)に対し、加害者の住所・氏名等の発信者情報を開示させるという2段階の手続きを踏むことになります。
 
 この方法により、加害者を特定できて警告をすれば、通常「匿名なのでばれていない。」と考えている者に対し大きな効果を得ることができると思われます。
 
※プロバイダ責任制限法(平成14年5月27日施行)については、「総務省電気通信消費者相談センター」へ確認してください。
 

コラムニスト:福田 浩久 氏プロフィール

福田 浩久
福田 浩久
[Hirohisa Fukuda]
1967年東京都練馬区生まれ。
1998年に東京で弁護士登録、2000年に長崎県に登録換え、2001年に独立開業した。
現在は、長崎市内において、「福田・木下法律事務所」所長として弁護士5名体制で、企業や個人の依頼人の方の各種法的問題に精力的に取り組んでいる。
弁護士としてのモットーは、「お客様の立場に立ち、圧倒的なスピードで依頼に取り組む」。家族は妻と2男。趣味は旅行・ゴルフなど。

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