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第3回 間違いやすい敬語(1)

ここでは、敬語の考え方や誤りやすい敬語の使い方を、ショートムービーで学べる文化庁のホームページ「敬語おもしろ相談室」より要約してご紹介いたします。

間違いやすい敬語(1) ~尊敬語VS謙譲語Ⅰ~

今回は、謙譲語Ⅰを尊敬語として使ってしまう例や二重敬語などについて紹介します。

尊敬語・謙譲語Ⅰの判断基準

敬語のうち、尊敬語と謙譲語Ⅰは、ある人物を「立てて」述べる敬語です。
判断基準は、動作をするのが
・自分なのか?
・相手なのか?
・立てるべき人に対する動作なのか?
このように、「自分側は立てない」というのが、尊敬語や謙譲語Ⅰを使う場合の基本的な原則です。
 
「課長、そのファイルも会議室にお持ちしますか」と尋ねたところ、「うん、よろしく頼むよ」と言われてしまいました。
私は自分が持っていくつもりではなく、上司である課長が持っていくかどうかを尋ねたかったのですが、どう言えば良かったのでしょうか。
 「お持ちする(お……する)」は、謙譲語Ⅰです。つまり、持っていくのは目下の自分、ということを示します。課長が持っていくかどうかを尋ねたかったのであれば、「持つ」の尊敬語「お持ちになる(お……になる)」を使い、「課長、そのファイルも会議室にお持ちになりますか」とすれば良いでしょう。

「二重敬語」とその適否

一つの語について、同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」と言います。例えば、「お読みになられる」は、「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で、更に尊敬語の「……れる」を加えたもので、二重敬語です。「二重敬語」は、一般に適切ではないとされています。
ただし、一般に定着している、(尊敬語)お召し上がりになる、お見えになる、(謙譲語Ⅰ)お伺いする、お伺いいたす、お伺い申し上げる、などは使っても大丈夫。

「敬語連結」とその適否

二つ(以上)の語をそれぞれ敬語にして、接続助詞「て」でつなげたものは、上で言う「二重敬語」ではありません。ここでは「敬語連結」と呼ぶことにします。

例えば、
「お読みになっていらっしゃる」 =
「お読みになる」+「(「読む」+「」+「いる」)」+「いらっしゃる」
 
つまり、「読む」「いる」という二つの語をそれぞれ別々に敬語(この場合は尊敬語)にして、助詞の「て」でつなげたものなので、「二重敬語」には当たらず、「敬語連結」になります。
「敬語連結」は、多少の冗長感が生じる場合もありますが、個々の敬語の使い方が適切であり、かつ敬語同士の結び付きに意味的な不合理がない限りは、基本的に許容されるものです。
いろいろな例があるので、立てるべき人は誰なのかを意識して、目上の人の会話にも耳を傾け、敬語に関心を持つことも大事です。
【質問】
「担当者に伺ってください」と受付の人がお客さんに言うのは適切でしょうか?
 
【答え】 適切ではない
担当者に伺ってください」の「伺う」は謙譲語Ⅰです。したがって、客の動作に用いる敬語ではありません。
客を立てるためには、尊敬語を用いる必要があります。この場合は、「担当者にお聞きください」あるいは「担当者にお尋ねください」とすれば良いでしょう。

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