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インターネットと法律いろは[第6回]
少額債権の回収について

 インターネットを通じた販売の中で、数万円~10万円程度の少額債権が未回収のまま溜まっていくことがよくあります。少額といえども未収債権を放置すると、[1]累積して巨額となっていく、[2]債権回収が甘いとの風評が立ち以後の債権回収に影響する、[3]社内のコンプライアンス遵守の意識が希薄となるなどの問題が生じますので、しっかりと回収する必要があります。他方、債権が少額なだけに、どこまで費用をかければよいのかが悩ましくあります。
以下は、基本的な考え方などを説明いたします。
 
 先ず、販売の際にはしっかりとお客様の情報収集をしましょう。営業上のデータにもなりますし、回収の際にも役立ちますので一石二鳥です。
 
 未収債権は、あきらめず請求し続けましょう。請求書を送るだけでは無視されて効果が少ないので、定期的に電話をして支払を促すことも大事です。必ず回収するという強い気持ちをもって請求すれば結果はついてきます。
 
 自社での回収が困難な場合、弁護士に相談し、弁護士から内容証明郵便での請求を出してもらうことも検討してください。弁護士に内証証明を依頼するとそれなりの費用がかかりますが、少額債権の回収は定型的な請求ですので、弁護士に相談して通常よりもかなり安く大量に発信してもらうことも協議により可能です。
 
 最後の手段が訴訟です。少額債権の回収の訴訟場合、一度、弁護士にアドバイスを受けておけば以降は自社でも対応は可能です。通常、数万円程度の話しで裁判をされて被告になるとは思っていないですから裁判所から訴状が届いた段階で支払われる場合も数多くあります。
 
 債権回収では時効の管理も重要ですが、単に請求書を送り続けるだけでは時効は中断されないので注意してください。
 
 少額債権の回収の場合、1件に多額のコストをかけることはできません。しかし、例えば、5万円の未収金が200件あり、一件あたり平均1万円のコストをかけて半分回収すれば十分にペイします。
 
 是非、トータル的な戦略を立てての少額の債権回収をされてみてはいかがでしょうか。
 
これまで、6回にわたりご愛読ありがとうございました。皆さまの会社が法的なトラブルに遭うことなく益々ご発展されることをご祈念申し上げます。
 

コラムニスト:福田 浩久 氏プロフィール

福田 浩久
福田 浩久
[Hirohisa Fukuda]
1967年東京都練馬区生まれ。
1998年に東京で弁護士登録、2000年に長崎県に登録換え、2001年に独立開業した。
現在は、長崎市内において、「福田・木下法律事務所」所長として弁護士5名体制で、企業や個人の依頼人の方の各種法的問題に精力的に取り組んでいる。
弁護士としてのモットーは、「お客様の立場に立ち、圧倒的なスピードで依頼に取り組む」。家族は妻と2男。趣味は旅行・ゴルフなど。

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