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第1回 敬語の心得・敬語の基本

ここでは、敬語の考え方や誤りやすい敬語の使い方を、ショートムービーで学べる文化庁のホームページ「敬語おもしろ相談室」より要約してご紹介いたします。

敬語の心得

自分よりかなり年下の、取引先の会社の若い社員や、子供の担任をしている若い教師などにも、敬語を使う必要があるのでしょうか。
 敬語は、古代から現代に至る日本語の歴史の中で、一貫して重要な役割を担い続けていますが、敬語の持つ意味は時代によって変わっています。敬語が人間の上下関係を表すことと密接に関連している時代もありました。しかし、現代社会においては、その人を尊重しようという気持ちを表すこと、その人の立場に配慮すること、その人と親しいか親しくないかといった親しさの程度を示そうとすることなどの意識に基づいて使われていると言ってよいでしょう。
 
 すべての人は基本的に平等です。したがって、一方が必要以上に尊大になったり卑下したりすることなく、お互いに尊重し合う気持ちを大事にしなければなりません。このような「相互尊重」の気持ちを基本として敬語を使うことが、現在も、また将来においても重要です。
 
敬語は、人間を上下に位置付けようとするものであり、現代社会には、なじまないようにも思います。どう考えれば良いのでしょうか。
 「敬語は年長者に対して使うものだ。」と言われることが多いですが、実際には、例えば、取引先など異なる組織にいる相手であれば、年齢にかかわらず使われているものです。また幾ら若いといっても、自分の子供の担任をしている教師であれば、その立場に対する配慮が必要になります。

敬語は、単なる上下関係からでなく、その相手と自分との間の立場や役割から考えて使う場合もあります。この中には、仮に自分が年長であっても、相手を立てて使う場合も含まれます。
 

敬語の基本

 敬語には5つの種類があります。学校では「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類として習った方も多いかもしれません。ここでは、実際の使われ方をもとに、あえて5つに分けました。

敬語の種類

5種類
3種類
尊敬語
「いらっしゃる」「おっしゃる」型
尊敬語
謙譲語1
「伺う・申し上げる」型謙譲語
謙譲語2
(丁重語)
「参る・申す」型
丁寧語
「です・ます」型丁寧語
美化語
「お酒・お料理」型
【1】尊敬語  
人を立てて使うもので、「いらっしゃる」「おっしゃる」などの形で、その動作をする人を立てる敬語です。
>> 『営業部の田中様はいらっしゃいますか?』
>> 『お忙しいところ恐縮ですが、お名前とご住所をお教えいただけますか?』  
尊敬語は、立てる人の行為などの動詞、状態を表す形容詞、物事などの名詞に使います。  
 
次に、謙譲語は自分がへりくだって言うものと一般には理解されていますが、ふたつの種類があります。
【2】謙譲語Ⅰ  
自分の側からの物事や行為について、その向かう先の人物を立てて使います。
>> 『先生のところに伺いたいのですが…』
 
【3】謙譲語Ⅱ  
自分側の行為や物事を話し相手に対し、丁重に述べるもの。丁重語とも呼ばれます。
>> 『明日から海外へ参ります
>> 名詞を変化させる『拙著』『小社』もこの例です。
 
謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違い
《謙譲語Ⅰ》立てる対象→行為・物事の「向かう先」
《謙譲語Ⅱ(丁寧語)》意識する対象→会話や手紙の「相手」
 
【4】丁寧語  
話や文章の相手に対して丁寧に述べるために付ける「です」「ます」。
 
【5】美化語  
ものごとを、美化して述べるための「お」を付ける表現です。

まとめ

 敬語で大切なのは、相互尊重に基づく自己表現。お互いに認め合いながら自分の気持ちを素直に伝えると、自然な敬語が使えます。
理解度チェック
【質問】
プレゼント企画の広告に「豪華プレゼントをいただいてください」と書いてあった。この言い方は適切でしょうか?
 
【答え】 適切ではない
「いただく」は、「もらう」の謙譲語Ⅰの形です。
応募者の行為である「もらう」を謙譲語Ⅰにすることは、募集している側を立てることになり、適切ではありません。「お受け取りください」などが適切です。

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