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誰でもできるひと手間レシピ[第5回]
文章テクニック2

ライターの下妻みどりさんによる文章講座2回目。「より簡潔で力強い文章を書きましょう」という基礎編に続き、今回は文章の削り方、表現方法の違いなどについて教えていただきました。

展開編

Let'sシェイプアップ!
 クリックひとつで画面を移ることのできるパソコンの中では、本や雑誌よりも、もっと「パッと見」が大切。どれだけ思いを込めたところで、あふれんばかりの文章が画面いっぱいに広がったページは、たぶん、だれも読んではくれないのです。だからこそ必要とされるのが「削る力」。「あれもこれも」となりがちなのをグッとこらえて、シェイプアップするのです。
シェイプアップからブラッシュアップへ
 文章とは不思議なもので、熱い思いをボリューム満点でそのまま出すよりも、10のものを1、100のものを2つか3つ…抑えて削って差し出すほうが、相手に伝わるということが多いのです。特に長くなりがちな商品の説明や、店舗・施設の紹介、行事の記録・報告などの文章は、まずは分量を気にせず思うままに書いてみて、それを半分、3分の1…と削っていく方法をおすすめします。単純にシェイプアップするというより、磨き上げる…ブラッシュアップするのです。  大切な要素はそのままに、重複した言い回しや、不要な接続詞などを削っていきます。こうすることで「なにを伝えたいか」が浮かびあがりますし、「メインの文章の中では使わないけれど。写真のキャプションにはぴったり」という要素がみつかったりして、ページをより「多角的」に編集することにつながります。

実践編

「カジュアル・レベル」を設定しよう。
 ひとくちに「文章」といっても、それが誰に向けて書かれるものかで、言葉づかいや文章のトーンはまったく違ってきます。わかりやすいところでは、文の終わりを「である」「です、ます」どちらにするか、流行の言葉や表記、言い回しをどれくらい取り入れるのか、など。ホームページで紹介する商品やお店、会社は、どのようなイメージですか?お客様の年齢層やライフスタイルは?そんなことを考えながら「カジュアル・レベル」を設定してみましょう。どこまでくだけていいのか、どこからがNGなのか。イメージのトーンと合うような雑誌の言葉づかいを参考にしてみてもいいですね。もちろん、実際に書きながら判断していいのです。
 
キャプションひとつで、こんなに違う!
 3段階の「カジュアル・レベル」を設定して、キャプションを付けてみました。イメージする雑誌としては
[1]が、かなり若者向けの無料クーポン誌、
[2]が一般的な雑誌やタウン誌、
[3]は「○○画報」的なマダム誌、あるいはホテルのリーフレット、といったところ。
どれが「正解」ということではありません。書く人、読む人に合わせることが大切です。

コラムニスト:下妻 みどり 氏プロフィール

下妻 みどり
[Midori Shimotsuma]
雑誌・広告のライターとして、数多くの文章やイラストの作成を手がける。テレビ番組制作にも携わり、主に長崎の歴史や文化を取材。
2011年、「長崎生活文化研究所トンビ軒」設立。あたらしい長崎論の展開と表現を目指す。著書「長崎迷宮旅暦(書肆侃侃房)」ほか。1970年生まれ。熊本大学文学部地域科学科卒。

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